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飲む中絶薬とは?日本はいつから?入手方法や効果、副作用について

公開日:最終更新日:

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現在、日本で中絶をする場合は手術が必要になります。しかし、海外では母体への負担を軽減できる「飲む中絶薬」が広く使用されています。そこで、日本でも2021年12月下旬に「飲む中絶薬」の承認申請を行うことがイギリスの製薬会社から発表されました。そんな「飲む中絶薬」の効果や副作用について詳しく解説します。
  • 松沼 寛

    HIROSHI MATSUNUMA

    1998年03月
    名古屋大学医学部 卒業
    1998年04月
    岡崎市民病院 勤務
    2000年04月
    名古屋大学医学部付属病院 勤務
    2008年07月
    市立四日市病院 勤務
    2020年04月
    イースト駅前クリニック岡山院
    院長就任
    2022年05月
    イースト駅前クリニック女性外来院
    院長就任
    資格
    泌尿器科専門医
    所属学会
    日本泌尿器科学会

飲む中絶薬とは?

「飲む中絶薬」とは、内服薬を用いて行われる中絶方法を指します。使用されるのは妊娠の継続を止める「ミフェプリストン」と陣痛を引き起こす「ミソプロスト―ル」です。この2剤を順番に内服することで、母体への負担を抑えて中絶することができるとされています。

1988年にフランスで承認されて以降、「飲む中絶薬」が使用されている国は世界で70か国以上あり、WHOでも安全な中絶方法として推奨されています。

中絶薬の種類 効果
ミフェプリストン 妊娠を維持するのに必要な黄体ホルモン(プロゲステロン)の働きを抑制する薬
ミソプロストール 子宮を収縮させる(陣痛を引き起こす)薬

(※1、2)

飲む中絶薬はどこに売っている?通販で個人輸入は可能?

上述したように、「飲む中絶薬」は多くの国で使用されている薬です。しかし、現在(2021年12月2日)のところ、日本では厚生労働省から認可を得ていません。もちろんドラッグストアや薬局などで市販もされておらず、海外から輸入する際には医師の処方せんや指示書に基づいて手続きを行う必要があります。薄毛治療薬などのように個人が自由に輸入できる薬ではないのです。

2004年にはインドから違法に個人輸入した「飲む中絶薬」を内服し、多量の出血やけいれんが起きて入院治療が必要になった事例も報告されています。自己判断で内服すると重大な健康被害が生じることもあるため注意が必要です。

(※3、4)

飲む中絶薬が国内で承認される可能性も!

現在、日本では認可されていない「飲む中絶薬」は、搔把法や吸引法よりも母体への負担が少ないというメリットがあります。認可を求める声が多くあがっているのも事実です。

そこで、イギリスの製薬会社「ラインファーマ」は2021年12月下旬、厚生労働省にミフェプリストンとミソプロスト―ル2剤について製造販売の承認申請をする予定であることを発表しました。医薬品医療機器総合機構(PMD)による審査を受け、順調に進めば1年以内に承認される見込みです。

(※5)

飲む中絶薬の使用方法

ミフェプリストンとミソプロスト―ルはアメリカなどの海外では妊娠10週未満の妊娠に対して使用することが定められています。

ラインファーマの治験で使用されたのはミフェプリストン200㎎錠1錠ミソプロスト―ル200㎍錠4錠。まずはミフェプリストンを内服し、36~48時間後にミソプロスト―ルを追加で内服する方法で行われました。

もちろん、正常妊娠の方のみに適応となり、子宮外妊娠などの方には卵管破裂など重篤な症状を引き起こす可能性がある場合は使用できません。

(※2、6)

飲む中絶薬の効果

ラインファーマが国内で行った治験によれば、妊娠9週以内の妊婦120人(18~45歳)に2剤を使用したところ、93.3%は中絶に成功したとのこと。

一方で、120名中8名は胎児や付属物の一部が完全に排出されず、3名は搔把などの外科的な治療が必要になったとのことです。残り5名は経過観察とされましたが、その後1名はミソプロスト―ル内服後48時間以内に中絶が成功。4名はミソプロスト―ルを内服しても変化がなく、治験参加者本人の希望により外科的処置を受けたとされています。

(※6)

飲む中絶薬の副作用

アメリカ食品医薬品局(FDA)の見解では、2剤は内服後1~2日目に吐き気、嘔吐、発熱、めまい、頭痛、脱力感などの副作用が見られるとされています。また、出血やけいれんなど重度な副作用も報告されていますが、まれなケースとしています。

この治験でも参加者の59.2%(120名中71名)に腹痛や嘔吐などの副作用と疑われる症状が見られたとのことです。しかし、症状はいずれも重度でなく、薬の副作用と判断されたのは45名でした。一方、参加者1名は発熱や出血による貧血などの重度な副作用が現れたとされています。

WHOも安全性を認めている薬剤であり、国内の治験でも重篤な副作用はまれであり、高い安全性が示される結果となりました。

(※2、6)

手術による中絶にかかる費用と比較

上述したように、日本では中絶を希望する場合は早期段階であっても搔把法や吸引法を選択せざるを得ないのが現状です。搔把法や吸引法は母体の心身に負担がかかるだけでなく、経済的な負担も大きくなります。健康保険の適応外であるため、一般的な費用は10~20万円です。

なお、妊娠12週を過ぎると費用は40~60万円ほどに。人工的に子宮口を拡げて陣痛を起こしながら流産を促す処置が必要になるため、心身への負担もさらに大きくなります。

「飲む中絶薬」は心身の負担だけでなく、経済的な負担も軽減できることになります。

飲む中絶薬に関するFAQ

Q.ネットで検索すると中絶薬がという薬が出てくるのですが購入しても良いでしょうか?

  • A.ニセモノもしくは違法の可能性があります。

日本では中絶薬は厚生労働省の承認を受けていません。海外から輸入する際には医師の処方せんや指示書が必要になり、定められた手順で行う必要があります。個人輸入は規制されていますので、インターネットなどで販売することもできません。

”ニセモノ”には、成分も正しくないものもあり、不純物の混入により死亡例を含む思わぬ健康被害を及ぼすことが報告されています。何が含まれているかわからない物質を服用することによって引き起こされた健康被害は対処方法がわからないまま重大な自体を引き起こし、場合によっては死に至る可能性もあります。

万が一、中絶薬のネット販売を見つけたら、詐欺または違法に販売されている可能性が高いと考えましょう。過去には個人輸入で購入した中絶薬を自己判断で内服し、多量出血などの副作用に襲われた事例が報告されています。手軽に購入できるからといって安易に飛びつくのは非常に危険です。

(※3、4)

Q.飲む中絶薬の副作用には何がありますか?

  • A.副作用はありますが、重篤なものは少ないようです。

中絶薬には一定の割合で副作用が出ることが報告されています。

FDAの注意文書では内服1~2日目に吐き気、嘔吐、発熱、めまい、頭痛、脱力感、腹痛などの症状が現れやすいとされています。一方で、まれに出血やけいれんなどの重篤な副作用も見られるとのこと。

日本で行われた治験では、約6割の方に腹痛や嘔吐などの軽い症状が現れましたが、発熱や出血などで入院が必要になった方は120名中1名。このような結果から、中絶薬は軽度~中等度の副作用が生じるリスクはあるものの、重篤な健康被害が出るリスクは低いと言ってよいでしょう。

(※2、6)

Q.飲む中絶薬は妊娠何週間までの人に効果がありますか?

  • A.海外では妊娠10週までの方に使用されています。

海外では、中絶薬は妊娠10週(70日)未満の方に使用されています。一方、国内で行われた治験の対象者は妊娠9週(63日)未満の方でした。

今後、日本で承認が下された場合の適応時期に関しては定かではありません。しかし、海外の事例や治験の結果などを考えると妊娠9~10週未満の初期段階の方に適応になると考えられます。

(※2、6)

中絶を検討されている方へ

妊娠中絶は女性にとって心身に大きな負担がかかる治療です。現在、日本では初期段階であっても搔把法や吸引法などの手術しか選択肢がありません。しかし、海外では内服することで妊娠の継続をストップし、子宮内容物の排出を促す「飲む中絶薬」が広く使用されています。

「飲む中絶薬」は心身の負担を軽減しつつも、高い中絶成功率と安全性が認められている薬で、日本でも1年以内に承認される可能性があるとされています。

一方で、現在中絶を検討している方は従来の手術が必要になります。違法な個人輸入などで中絶薬が販売されているケースもあるようですが、安易に自己判断で使用するのは非常に危険です。できるだけ早めに医療機関を受診するようにしましょう。

参考URL

※1)日本産婦人科医会「人工妊娠中絶について教えてください」 https://www.jaog.or.jp/qa/confinement/ninsinshusanqa6/ ※2)FDA「Questions and Answers on Mifeprex」 https://www.fda.gov/drugs/postmarket-drug-safety-information-patients-and-providers/questions-and-answers-mifeprex ※3)厚生労働省「ミフェプレックス(MIFEPREX)(わが国で未承認の経口妊娠中絶薬)に関する注意喚起について」 https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1c.html ※4)厚生労働省「医療機関を受診せずに個人で海外製経口妊娠中絶薬を使用することは大変危険です」 https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000205985.html ※5)WHO「安全な中絶」 https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/70914/9789241548434_jpn.pdf;sequence=10 ※6)医薬品情報データベース https://www.clinicaltrials.jp/cti-user/trial/ShowDirect.jsp?clinicalTrialId=32873

  • 松沼 寛

    HIROSHI MATSUNUMA

    1998年03月
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